わたしたちの身の回りの高分子は、医療でも使われています。

むかし、注射器はガラスで作られていて、毎回、消毒をして使っていましたが、今は、感染を予防するために一度使ったら捨てる高分子で作られた注射器が使われています。
また、手術のときに、お医者さんが使う糸も高分子でできています。
手術用の糸には、時間と共に体の中で分解し、元気になったときには、体内に糸が残らないものもあります。そして、未来の医療には、新しいアイデアで、色々な高分子が使われるようになります。
その例を紹介しましょう。

私たちは、知らないうちに蚊に刺されるように、ちくりとした痛みを感じません。
そこで、蚊のような細い針を使った新たな注射器の開発がおこなわれています。
簡単に注射ができることから、海外のお医者さんがいないような地域でも、子供たちにワクチンを接種させることができるようになります。

また、高分子のシートの上で細胞を成長させて、大きくなった細胞を患者さんの患部(病気のある場所)に移植する再生医療(さいせいいりょう)の研究も進んでいます。

さらに、薬は血管を通って患部に運ばれますが、もっと、患部に標的を絞って薬を運ぶシステムの研究も進んでいます。

例えば、非常に小さな高分子のカプセルで薬を包み、癌(がん)になっている場所だけに薬を運ぶことができるようになれば、副作用が少ない治療が行えます。

コラム2(医療と高分子)2図_平坂雅男様

毎日、健康で過ごすために、バランスのとれた食事や運動をかかすことができません。
でも、病気にかかった時には、わたしたちの健康の回復に多くの高分子の技術が役立ってくれます。

むずかしい話となりましたが、高分子の研究者は、お医者さんと協力して未来の医療技術をつくる夢を描いています。
体に対する安全性の試験も必要ですので、道のりは長いですが、10年後、20年後には新しい治療法が高分子の力によって実現されるでしょう。

ひらさか まさお