「今日、仕事で訪ねていった先のお客さんが、先週、アラブ首長国連邦アブダビのマスダールシティに行ってきた話をしてくれたよ。」
子供たちの話を聞く側に回っている慎太郎が、いつになく、お箸で豚カツを一切れつまみながら切り出した。
「マスダールシティは近未来都市といわれており、産油国であるアブダビが石油を一切使わない、太陽光、風力や地熱などの再生可能エネルギーを駆使して温室効果ガスの排出量をゼロにすることを目指している都市なんだって。
地球温暖化の原因といわれる二酸化炭素などの温室効果ガスをゼロにし、廃棄物もゼロにするという都市計画に基づき建設されているんだそうだ。
お父さんも知らなかったので驚いたよ。」
「個人用高速輸送システムと呼ばれる無人の交通システムができており、目的地を選択すれば自動で行けるんだそうだ。その自動車にもそのお客さんは乗ったんだそうだ。
まるでドラえもんの世界だって言ってたよ。」
「お父さん、その自動車にもプラスチックは使われているのかな?」と、隼人。
「いや、車両の部材の話はでなかったな」
「お父さん、何とかシティの何とかシステムもきっと新幹線なんかの運行管理システムと同じようにコンピューターシステムになっているんだよね。きっと」
「はやちゃんもいろいろと知っているね」
「自動車や飛行機など車体を軽くするためにプラスチックが使われていると授業で習ったけど、コンピューターだって小型化、軽量化が必要だしシステムを作るうえでもプラスチックは使われているのかな?」
「ユーチューブで、空飛ぶ自動車や空飛ぶバイク、フライングボードなど見たけど、どんどん未来化しているんだね」と隼人。

山中新一氏撮影

山中新一氏撮影

PRT_Personal Rapid Transit
PRT(Personal Rapid Transit)

有紗が「ねえねえ」と割り込んでくる。
「今日、スーパーでガチャガチャを買って、考えたんだけど、スマホの画面って、回しても正しい位置に戻るでしょう。
あのガチャガチャのカプセルのような中に乗っている人なんかが常に水平になるようにコントロールされ、コンピューターで動かす船ができたら、絶対に沈まないと思うんだけどな」
「3Dプリンターみたいな調理器ができたら、買い物に行ったり、メニューを考えたりしなくてもいいな」と美也子。
話が尽きない、スマホもテーブルの隅に置かれたままの萩野家の夕食時であった。

とがみ むねひさ