「今日、ハウスメーカーさんから電話がかかってきて家の15年目の点検の日時を打合せしたいとのことでしたので、次の土曜日にお願いしますと言っておきました」と美也子は、帰ってきた慎太郎に告げた。
「もう15年か。家を建てたのは隼人が生まれた年だったな」と感慨ぶかそうな慎太郎。
「外壁も塗りなおしたほうがいいって。
そうそう、屋根から地面に雨を流す樋が白っぽくなっているのが気になっていたので聞いてみたの。
そうしたらチョーキング現象といって、樹脂製なので紫外線や熱、水などによって表面が荒れ、白いチョークの粉を塗り付けたように見えるとか言ってたわ」と美也子。
それを聞いていた隼人は、「雨樋や網戸の網などには塩化ビニル樹脂が使われているって学校で習ったよ」
「一般住宅では、他にプラスチックが使われているところはどこだろう」とつぶやく隼人に、有紗が答える。
「お兄ちゃん、お風呂場ってプラスチックでないもののほうが少ないよ。
窓ガラスとアルミサッシ、水道の蛇口、お風呂の栓の鎖、鏡くらいかな。
窓枠もきれいな色しているのでよく見るとプラスチックだったよ」
「ガス管や水道管、下水道管もポリエチレンやポリ塩化ビニルが使われているんだよ」と、慎太郎は子供たちに昔は鉄管や鉛管、土管などが使われていたことを説明するのであった。
さらに付け加え、「ポリエチレン製のガス管は、地震に強く、地中埋設にも強度的に耐え、腐食しないといった特徴があるんだよ。

撮影とがみさま
撮影:とがみ
住宅地の道路などに、この地下にはガス管が走っていると明示している粘着テープ(文末写真参照)や、掘削工事の際に埋設管を破損しないように、この下にはガス管がありますよという注意を喚起するテープなどもポリエチレン製のものが使われているよ」
「見えないところで頑張っているプラスチックは、縁の下の力持ちなんだね」と隼人。
「住宅の省エネでは、環境省が率先して、これまでの窓はアルミサッシと単層ガラスだったが、内側に塩ビサッシと複層ガラスを組み合わせた内窓を設置し、これが一般住宅にも普及してきているそうだよ」と慎太郎。
「じゃあ、うちは遅れているね」と有紗。
「省エネといえば、各家庭での取り組みが中心になっているが、これからは、地域冷暖房といって、ひとまとまりの地域や複数の建物を対象に冷暖房システムを導入し、省エネや二酸化炭素の削減に取り組んでいくようになっていくと考えられるんだよ」
「ガチャガチャのカプセルのような大きなドームを作って地域冷暖房をすれば、空気はきれいだし、雨は降らないし」
「有紗ちゃんは、ガチャガチャのカプセルしか頭にないんだね」

とがみ むねひさ