「ごちそう様」言い終えるや、隼人はスマホのゲームをやり始める。
有紗も負けじとスイッチを入れる。
慎太郎と美也子は顔を見合わせ「やれやれ」といった表情でテレビに目をやる。
「この前の日曜日、友達の浅倉隆一君の家に遊びに行ったんだ。
リュウ君の家、最近太陽光パネルを取り付けたんだって。
外出先からでもお家の発電状況や使用状況が見られるようになっているんだよ」と、スマホの画面上を軽やかに指先を走らせながらつぶやくのであった。
「授業で習ったんだけど、太陽光のように、自然界から得ることができるエネルギー資源を一次エネルギー、電気のように一次エネルギーを利用しやすいように変換したものを二次エネルギーというんだ」
「ハヤトは遊んでばっかりいるようだけど結構勉強しているんだね」と慎太郎。
「そろそろプラスチック博士の出番かしら」と美也子。
まんざらではなさそうに「風力発電のあの巨大なプロペラはガラス繊維強化(せんいきょうか)プラスチックでできている、波力発電などでは海水等でさびないようにいろいろなところでプラスチックが使われているよ。
電線や海底ケーブルには、塩化ビニル樹脂やポリエチレンが使われているよ。

けいはんな太陽光発電所
けいはんな太陽光発電所(筆者撮影)
そうそう、太陽光パネルは3層になっていて、表面がガラスで2層目が発電層、3層目が背面からパネルを保護する役目を持ったバックシートと呼ばれるものなんだ。
発電機能を持ったセルを封止するものやバックシートにはEVA樹脂が使われている。
「EVA樹脂とは、ちょっと待ってね」とゲームを終了させスマホで検索して、「エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂といって、紫外線や水にも強く、ゴム弾性、低温特性などに優れていると書いてある。
まさに太陽光パネルにはもってこいだね」ここでも慎太郎と美也子は顔を見合わせるのであった。
「スマホはこまめに充電しないとね。
薄っぺらなスマホにもバッテリーが入っているんだ。」隼人は、スマホの薄さを確認するように見ながらつぶやく。
「それは、ゲームのやりすぎだよ。そういえば、最近では家庭用の蓄電池のコマーシャルが多くなったな」と、食後のコーヒーを飲みながら慎太郎。
「バッテリーといえば、自動車用のバッテリーは鉛蓄電池で、電解液には希硫酸を使っている。希硫酸は酸性が強いため、耐薬品性に優れた材質が求められる。隼人わかるか?」
「知っているよ。ポリプロピレンが使われている。ふたもポリプロピレンで、オートバイ用の一部ではABS樹脂が使われている。電解液が入った状態のふたとケース本体はどのようにしてくっつけるのでしょうか?」
しばらく間を置き、したり顔で隼人は話し出した。「熱板溶着といって、ふたと本体両面のくっつける面を溶かしてくっつける、熱可塑性樹脂の特徴を生かした方法なんだ」
「よく知っているね」と感心する慎太郎。
「実は、プラスチックのことを学校で学んだよって、おじさんに話をしたときにいろいろとプラスチックについて教えてもらったんだ」
「あなた、うちも太陽光パネルの設置を考えてみない」と美也子。
「・・・・・」狸寝入りする慎太郎であった。

とがみ むねひさ