高分子学会には20を超える数の研究会があり様々な行事を行っています。
本号ではそれぞれの研究会の活動内容や研究内容を紹介することによって、更に多くの会員に研究会に参加していただくことを目的としています。
また、12月のプレゼント企画として抽選で10名の会員を2017年高分子学会年次大会での懇親会にご招待します!
プレゼント応募時に記載していただいた研究会に対する要望や提案は、各研究会に対してフィードバックします。
会員の皆様にとっては年会懇親会招待というプレゼントとなり、研究会にとっては会員からの意見収集や、行事参加者及び会員数の増大を図る機会となることを期待しています。

医用高分子研究会
私は、中学生のときに突然人工肝臓を作りたいと夢見るようになり、今も医用高分子の研究をしています。
目標ははるか遠くですが、生体・生命の素晴らしさに日々驚いています。
その複雑で壮大で微妙な、数々の問題点を化学の力で少しでも解決しようと試みる毎日は、楽しくやりがいのあるものです。皆さん、ぜひ一緒に目指してみましょう。

エコマテリアル研究会
1933 年にデュポン社は「石炭と空気と水からつくられ、鋼鉄よりも強く、クモの糸より細い」という言葉でナイロンを公表しました。
それから80年が過ぎようとしていますが、依然として化石資源由来合成高分子、合成繊維なしでは我々の生活は成り立ちません。
しかしながら、このような生活様式が未来永劫持続可能であると考えている人は少なくなっています。
今、私たちのすべきことは、再生産可能な生物資源の活用と、エコマテリアルを生産する省エネルギープロセスを開発することです。
また、従来埋め立てや焼却により処分されてきた廃棄物、各工業より環境中に放出されたガス、重金属類を回収あるいは固定化する機能や構造をもつ材料の開発、さらに新たなエコマテリアルとして生まれ変わらせる技術の確立も期待されています。

NMR研究会
高分子は同じ単位からできていても、異なる性質になることが少なくありません。なぜでしょう。
高分子って不思議です。NMR研究会はほかの研究会が高分子の性質をターゲットにしているのに対し、測定装置をターゲットとしている唯一の会です。
NMR(核磁気共鳴)は病院にあるMRIと原理は同じですが、MRIのように画像化しません。病気もわかりません。
そのかわり、もっと緻密で分解能のよいスペクトルから高分子材料の本質を分子レベルで探ることができます。
新しい機能をもつ優れた材料を開発するという目標に向かって、分子レベルの構造の世界をNMRから一緒に眺めてみませんか?!

グリーンケミストリー研究会
1870年にハイアットが象牙の代替品としてセルロイドをビリヤードの玉へ使用したことは人工高分子材料、いわゆるプラスチックの実用化の始まりでした。
それ以後、プラスチックは身の回りのほとんどの製品の材料として活躍しています。
しかし、次世代では地球環境保全・化石資源の有効利用などを重視するスマートで地球にやさしいプラスチックが求められています。
そのような次世代のプラスチックの合成やプラスチックの革新的なリサイクル技術の開発に思いを馳せている研究者の集まりです。

高分子基礎物性研究会
皆さんが学校や塾で勉強する理科や物理・化学のその先にはなにがあるのでしょう。
高分子の物性もその先にあるものの一つです。高校生科学オリンピックのメダリストの中にも高分子基礎物性の世界に足を踏み入れた人がいます。
たとえば、高校で習う浸透圧の法則(ファントホッフの法則)、高分子の溶液では必ずしも成り立ちません。
そこにはどんな高分子らしい原理が潜んでいるのでしょうか。
高分子はよくひもに例えられますが、分子レベルのひもやその集合体の性質は想像以上に魅力的です。
将来、一緒に高分子の基礎物性を勉強してみませんか?
高分子の基礎物性からイノベーションを生み出しましょう。

高分子計算機科学研究会
皆さんの体は高分子と呼ばれる物質でできていると思ってもおかしくありません。
高分子という物質が自分で構造をひとりでに作ってしまうから体ができているようなものなのです。
このような現象を自己組織化と呼びます。
なぜ高分子が自己組織化をするのか、その理由はまだよくわかっていません。
そこで、コンピューターを利用してその理由を解明しようとしている研究者の方々がおります。
コンピューターは技術が進歩し年々速くなります。
また、そのうえで動くプログラムも年々改良されます。
皆さんがこの研究に興味をもってくれると、きっとよりよい未来が来ると思います。

高分子ゲル研究会
「あなたは人間ですか?」と聞かれたら「ハイ」と答えると思います。
でも「あなたはゲルですか?」と聞かれたらどう答えますか。
答えは「ハイ」です。
なぜならゲルは内部に水などの液体を多く含んでいる物質のことですので、60~80 %の水分を含む人間の身体はゲルの一種です。
高分子ゲル研究会では、ゲルの科学や技術の研究を通じて自然や人間の仕組みを調べ理解し、地球上のいろいろな問題を解決するために役立てています。

高分子と水・分離に関する研究会
地球外生命を探る惑星探査では、水やその痕跡を探しています。
あなたの体重の7割、今この文章を読んで考えているあなたの脳内では9割が水です。
なぜほかの分子ではなく、水なのでしょうか?
誰もその理由を正確には説明できません。
この研究会では60年以上も水を含む物質や生体のしくみを調べてきました。
皆さんが将来研究者の道に進んだときにも、これらの問題や謎解きの一部は残されており、さらに進んだレベルでの次の問題や、人や社会に役立つ新たな技術開発に打ち込めるでしょう。
一緒にこの謎解きに挑戦して、古くて新しいこの分野で活躍してみませんか?

高分子ナノテクノロジー研究会
私たちの体は、およそ300 種の細胞とそれを取り囲む物質によって作られています。
この物質の大きさはナノメートルからマイクロメートルにわたっていて、それらを適切に組み合わせることにより形が整った体を作ることができます。
これと同じように、大きさがナノメートルの物質を作り、それらを組み合わせることによって、多くの製品を作り出すことができるようになります。
皆さんも高分子ナノテクノロジーを学び、暮らしに役立つモノづくりをしてみませんか。

高分子表面研究会
「モノの表面は内部とは違うんだよ」ということを普段の生活で意識することはあまりないかもしれません。
しかし、スマホの画面だって、雑誌の表紙だって、コンビニ弁当の容器だって、みんな表面と内部は違います。
表面科学が応用されているのです。表面の、目に見えないほどの薄い部分を変えるだけで見た目はまったく変わらないのに、モノ全体の性質をガラリと変えることができる。
これが表面科学の醍醐味です。
将来、科学者になって、世の中にない新しい材料を作ってやろう、と思っている人は、ぜひ一度、表面科学の世界へ足を踏み入れてみてください。

精密ネットワークポリマー研究会
なにかモノをつくってください。
イメージを描き、木を削り、モーターを付け、電池をつなぎ、動かして悦んでください。
そんな中で、さまざまな素材に触れることでしょう。
切る、融かす、接着する……まさに、高分子との出会いの連続です。
また、モノをつくることは三次元を実感することでもあります。
イメージと実物のギャップにもがきながら、妥協することなく理想のカタチを追い求めてください。
そんな皆さんを待ちうけているのは「分子が織りなす無限の世界」。
分子と戯れながらモノづくりを追求していきましょう。

接着と塗装研究会
皆さんの身の回りには高分子でできたものがたくさんあり、いろいろなところで世の中の役に立っています。
僕たちの研究会に関係する接着剤・粘着剤・塗料・コーティング剤も含まれます。
高分子は天然のもの・人工のものなどさまざまありますが、自分たちの手で変成・合成することができ、それらの特性によりいろいろな機能を付与することができます。
皆さんは科学・化学に興味をもち、将来、科学者やエンジニアになりたいと思っている人もいると思います。
合成高分子の歴史は長いですが、今でも技術革新が続いています。
技術の上に技術が積み重なり、どんどん機能的な高分子が生み出されています。
将来皆さんが高分子の分野で活躍し、新しく機能的な技術を確立することを期待しています。
そのときには、ぜひ、その技術を応用して、新しい機能的・革新的な接着剤・粘着剤・塗料・コーティング剤を作ってくださいね!

超分子研究会
高分子は広い学問分野ですが、それを超えた先には、きっと私たちがまだ知らない世界があるはずです。
超分子研究会は、社会・生活に役立つ新しい物質を創り出すときの重要な概念である「超分子」をキーワードとして、高分子を超えるブレークスルーを起こすことに挑んでいます。

水素・燃料電池材料研究会
2050 年には、全世界のCO2排出量を現状から半減しないと地球は人類にとって住みにくい星になってしまいます。
2050年に働き盛りの皆さんが、重要な世代となります。
エネルギー資源を大切に使い、再生可能エネルギーの利用を拡大するためには、水素技術、燃料電池技術の両方が大切になります。
また、これらの技術の鍵を握るのが高分子を代表とする化学・材料技術です。
一緒に、未来のエネルギー社会を牽引しましょう。
皆さんの将来的な貢献を期待しています。

バイオ・高分子研究会
生命は、決して“神”の不可思議なパワーではなく、DNA・タンパク質・糖などの生体高分子を中心とした精緻な化学反応の連続で営まれている。
生命は、宇宙の神秘とともに人類に残された最後の開拓地であり、研究が進むほど新たな発見がある。
中学・高校生といった若い諸君が大学に進む頃には、胸が躍るような研究対象がさらに増えていることを保証しよう。
将来、生命化学や生体高分子で新たに開拓される分野でも深淵な議論ができるよう、今の勉強を疎かにしないでほしい。

バイオミメティクス研究会
蓮の葉は、水を弾きます。このような性質を撥水性と言います。
蓮の葉の表面には微細な凸凹構造があり、雨水などの水滴との接触面が小さいからなのです。
一方、私たちは、テフロン加工によって撥水性を得ています。
これは物質の性質を利用していますが、残念ながらフッ素化合物には環境問題があります。
生物と人工物では、水を弾くメカニズムが違うのです。
つまり、パラダイムが違うのです。
生物は長い時間をかけてさまざまな環境下で進化適応してきました。
化学の言葉を借りるなら、“生物の多様性は、壮大なるコンビナトリアル・ケミストリー”なのです。
ビッグデータでもある生物多様性から生き残り戦略を学び、人類が持続可能に生存するためのパラダイム変換を実現するのは、君達なのです。
「凡人は模倣し、天才は盗む」(ピカソ)(表題は、ヴォルテールの言葉)

フォトニクスポリマー研究会
人に役立つ研究は、基礎の積み重ねによって支えられています。
現象に疑問を抱き、本質を見抜く力を研き、学生時代に興味の強い専門領域を一つもつことをお勧めします。
社会に出ると、ニーズやワークフローが見えてきて社会に実装したくなる領域が見えてきます。
学会を通して異分野の人たちと手を結び、ものづくりに挑戦してみてください。
私たちは光とポリマーに興味をもち、人に役立つものづくりの研究と開発に取り組んでいます。

プラスチックフィルム研究会
お菓子の袋など身の回りにフィルムは沢山あります。
でも、見えないところにも凄い性能のフィルムが沢山あります。
フィルム作りは、こねて延ばしてと、粘土細工にも似ています。
遊び心と探求心があれば、世の中を変えるフィルムを作ることも夢ではありません。
皆さんに興味をもって貰えたらなと、願います。

無機高分子研究会
無機化学が「炭素以外の元素の化学」をあらわすように、周期表にあらわれるほとんどの元素は無機元素に分類されます。
しかし、無機高分子の合成には有機化合物が欠かせません。
つまり、無機高分子とは「すべての元素を対象とする高分子化合物」ということができます。
無機高分子研究会では、すべての元素を対象として、高分子化合物の可能性を探索・追求し、人類の明日に貢献する科学の発展に努めます。

有機エレクトロニクス研究会
有機エレクトロニクスという言葉は、化学と電気電子分野が融合していることを示す言葉です。
すなわち、どちらのこともよく知らなければ、この分野は発展できないということです。
化学好きな人が電気が苦手、電気が好きな人が化学が苦手では困ります。
1800年にボルタが初めて電池を発明して、多くの科学者がその電気をいろいろな材料に流すという興味が拡充して今日のエレクトロニクス産業が成長しました。
エレクトロニクス分野では電流や電圧を制御して、多くのデバイスが動作しています。
そしていろいろな性質をもった有機材料があります。
それを私たちの生活に活かせるように工夫することが必要となってきます。
そのために皆さんが学んだ知識を活用されることを期待します。