こんにちは!今回から学生レンジャーとして投稿させていただきます、平川奈央と申します!
生まれも育ちも福岡で、今は福岡の大学で大学院生をしています。修士1年です。

高分子はとてもおもしろい振る舞いをします。
高分子にしかできないことがたくさんあります。
高分子について勉強したことのある大学生だけでなく、小学生から高校生、そのご家族の方など、たくさんの人に「高分子っておもしろい!!」と思ってもらえるような話をできたらいいなと思っています。どうぞよろしくお願いします。

さてさて、今回は初めての投稿なので、まずは私が研究している高分子についてのお話をしたいと思います。

私は高分子を使った、気体を分ける薄膜(はくまく。うすいフィルムのこと)の研究をしています。

身の回りを見渡してみてください。
私たちの周りにはたくさんの高分子でできた膜・フィルムがあります。スーパーのレジ袋、ゴム風船、ラップなどなど。この中で「気体を通すもの・通さないもの」は何があるでしょうか??

見つかりましたか?
今回は気体の通り方をコントロールした高分子フィルムについて、3つに分けて説明しますね。

たいていの薄い高分子フィルムは気体を通すことができます。

まずは「気体を通さないための高分子」について。
例えば、皆さんのお家にあるラップ(サ○○ラップ とか、ク〇ラップ とか)。
ラップは食品を包んで、空気になるべく触れないようにして、食品が悪くなるのを防ぎます。同時に内側から食品のにおいや湿気が漏れないようにする役割も果たしています。そのため、ラップは酸素やにおい成分が通りにくい材料と製法でできています。とくに肉や魚用のものは酸素の影響が大きく、においもあるので、特に気体が通りにくくなっています。

また、ポテトチップスなどのお菓子の袋は内側が銀色になっていますよね。
ポテチは中に湿気や酸素か入ってくると味が落ちるので、ただのプラスチックだけでなく、金属のコーティング層がされています。金属は高分子よりももっと気体を通しにくいので、絶対に通って欲しくない場合に使われます。

次に「気体を通すための高分子」。先ほどのラップやお菓子の袋には酸素を通さない工夫がされていますが、酸素が通ってほしいときだってあります。
例えばコンタクトレンズ。使っている人は分かると思いますが、コンタクトレンズに目が覆われるとどうしても酸素と接しにくくなり、目が酸欠になってしまいます。
(ちなみに私はコンタクトも眼鏡もしていないので、これは母に聞いた感想です。)
このため、昔は長い時間着けていられなかったようですが、最近は技術の進歩で一日中着けていられるようになりました。その理由が「空気を通す」ようになったからです。

また、水だって気体として通したいことがあります。
水の気体は「水蒸気」または「湿気」です。この「湿気」を通す技術はスポーツウェア医療品によく使われています。「水滴ははじくけど、蒸れないレインコート」はこの仕組みを使っています。

最後にもう一つの種類、「決まった気体だけ通す高分子」についてお話します。
これが私のやっている研究です。

「決まった気体だけ通す高分子」のイメージ

日常でよく見るのは、吸引用の酸素ボンベです。これは酸素を優先的に通す膜に空気を通して、酸素の分量を多くして作っています。

私が取り組んでいるのは二酸化炭素を優先的に通す高分子膜の研究です。
二酸化炭素は温室効果ガスの一つで、地球温暖化の原因となっています。今までは空気中にどんどん排出していましたが、最近この二酸化炭素を、高分子フィルムを使って回収しようという取り組みがされています。排出ガスをフィルムに通すと、二酸化炭素だけが出てくるという仕組みを作れば、二酸化炭素を別のものに変えることもできます。
ただ、たくさんの気体の混ざった排気ガスから二酸化炭素だけを取り出すのは簡単ではありません。今も世界中でたくさんの研究所や会社が「二酸化炭素分離膜」の研究をしていて、私もその一員として日々研究を行っているのです。

気体を通す高分子に興味を持ってもらえたでしょうか???
気体を扱う高分子の仕組みはとても難しいので、また今度お話しますね。

それではこれからもよろしくお願いします。
最後まで読んでくださってありがとうございました!

参考文献:永井清一 監修、「気体分離膜・透過膜・バリア膜の最新技術」株式会社シーエムシー出版 発行、2007

平川ゲストレンジャー
九州大学大学院 君塚研究室 M1: http://www.chem.kyushu-u.ac.jp/~kimizuka/