去る10月18、19日に中国・西安で開催された第1回日中若手研究者交流シンポジウム(China-Japan Joint Symposium for Young Polymer Scientists)の日本メンバーの一人として参加してきました。
このシンポジウムは、高分子学会会長の加藤隆史先生と張希(Zhang Xi)先生の発案から企画され、2019年全国高分子学术论文报告会(中国高分子研究発表の最も大きな大会)の中の一セッションとして開催されました。
日本からは、加藤隆史会長(東大)、酒井崇匡先生(東大)、緒明佑哉先生(慶応大)、寺島崇矢先生(京大)、杉安和憲先生(NIMS)、仁科勇太先生(岡山大)とわたし野々山(北大)が参加いたしました。


閉会式の壇上で記念撮影.

西安は中国の内陸部に位置し、古くから歴代王朝の都として栄えた歴史ある都市で世界中から多くのツーリストが観光に訪れます。
日本から西安の玄関口である西安咸陽国際空港までおおよそ4、5時間のフライト。
そこから西安市街地までは車で1時間ほどです。
丁度この頃は中華人民共和国建国70周年の行事の直後だったため、街中が建国記念の飾り付けがなされていました。


建国70週年の電飾,いたる所に.

18日初日の午前は、いきなりエクスカーションとして西安最大の観光資源である世界遺産始皇帝陵兵馬俑に連れて行って頂きました。
西安市街地から東へ車で1時間15分ほど。
前日遅く到着し、朝も早く出発したので皆さん車内で爆睡していました(笑)。
さすが兵馬俑!入り口から観光客でごった返しています。
私達は現地のガイドさんの日本語の説明と共に、写真で見た有名な遺構を見学しました。


写真やテレビでよくみる構図,圧巻です!

午後からいよいよ日中交流セッションのスタートです。会場は西安市街地中心部にある曲江国際会議場(Qujiang International Convention Center)で、巨大な大会に相応しい立派なコンベンションセンターです。
初めに加藤会長から本セッション開催の成り立ちや我々高分子学会の紹介、また今回日本からの発表者の紹介がありました。その後、最初の酒井先生の講演を皮切りに日本、中国の発表者が交互に講演し、活発な質疑応答がありました。「ゲル化速度や浸透圧が制御されたハイドロゲルを用いた網膜剥離の治療」、「異種材料を同時に3Dプリンティングする技術を用いた組織工学用基質」、「両性高分子の精密な自己組織化」、「動的結合ネットワークポリマーを用いた形状が変化する材料」、「超分子自己集合のその場観察」、「空間が制限された場における高分子の特異な結晶化」、「極限相分離による高温ガラス化」、「天然由来のモノマーから重合でき、再度使用できるモノマーに分解できるリサイクル可能なポリマー」など多岐に渡る非常にクオリティの高い研究で、50名ほどの会場も満席な状態。
非常に有意義なセッションとなりました。
詳しい発表リストは本記事の最後に記載しておきます。


発表された先生方

初日の夜は懇親会として、日中の参加者の皆さんで陕西歌舞大剧院(Shaanxi Grand Opera)に行ってきました。
ここでは主に夕食を楽しみながら、唐王朝時代の音楽や舞踊を鑑賞できる場所で、歴史ある西安の文化を感じることができました。


日本と中国の発表者の皆さま.


美味しい料理に美しい音楽と踊り,贅沢な空間です.

その後は、ホテル近くの大唐不夜城歩行街(Grand Tang Mall)という歩行者天国的な総合ショッピングモールを歩きました。
お祭りでもないのにモールの建物が毎晩ライトアップ・イルミネーションされていてとても素敵な場所です!
夜遅くにも関わらずたくさんの人が歩いていました!
近くには、三蔵法師(玄奘三蔵)ゆかりの世界遺産 大慈恩寺・大雁塔もあり、そちらも夜空に美しくライトアップされていました。


左上:大雁塔と金ピカの玄奘三蔵像.右上:モールの建物,比較的新しい建物ですが昔ながらの造りです. ライトアップが美しい. 左下:空海や鑑真の像,その他西安にゆかりのある石像がたくさん. 右下:将軍像と隊列とレーザービーム,こんな賑やかな通りが1.5kmも続きます.

二日目も午前から日中交流セッションです。
「強靭な機能性導電高分子」、「グラフェン複合体とその応用」、「がん治療に向けたDNA薬物キャリア」、「層状ポリジアセチレンの層間制御による構造色発現」、そして「メカノケミルミネッセンス高分子」の発表があり、初日と同様に幅広い高分子分野の発表で盛況なセッションとなりました。
午後からは、一番大きなメインホールに移って、加藤会長による液晶研究とその次世代材料に関するプレナリーレクチャー(全体講演)がありました。
2,000人超収容の会場が上階席まで一杯に埋まり、皆さん真剣に聴講していました!


加藤会長のプレナリーレクチャー,非常に大きな会場が満席です.

今回参加して改めて感じたことは、やはり中国の高分子研究のレベルの高さ、規模の大きさ、活発さに圧倒されました。
我々は18、19日の二日間の参加でしたが、全体の会期は16〜19日の4日間あり、その間ポスター発表だけでも3,000件を超えているそうです!
閉会式にポスター賞の受賞者が100人程度(とても多い!)壇上に上がっていましたが、それでも倍率30倍と非常に競争率が高く、このような切磋琢磨できる環境が研究のレベルを上げていると感じました。
残念ながら日本は、マンパワーでは中国に到底敵いません。
これは高分子分野に関わらずあらゆる面においてです。
皆さんが大学生や大人になって研究に従事することになったら、「この研究なら私だ!」と胸を張れるようなオリジナリティのある独創的な研究を心がけましょう。
最後に、このような貴重な機会を与えてくださった高分子学会及び会長の加藤先生、張希先生にお礼申し上げます。
また、酒井先生、緒明先生は諸々の段取り、お疲れ様でした。
今後も、この日中交流事業は継続されるようなので、高分子学会会員の方々は、日本で開催の期には是非足を運んでみてはいかがでしょうか。
セッションリスト
2019年10月18日(金)
Opening Remark Prof. Takashi Kato (The University of Tokyo)
Chair: Prof. Dongsheng Liu
13:00-13:30 Prof. Takamasa Sakai (The University of Tokyo)
Hydrogels science for biomedical application
13:30-14:00 Prof. Yapei Wang (Renmin University)
Spider-Inspired Multicomponent 3D Printing for Tissue Engineering
14:00-14:30 Prof. Takaya Terashima (Kyoto University)
Controlled Self-Assembly of Amphiphilic Polymers for Next Generation Materials
14:30-15:00 Prof. Qian Zhao (Zhejiang University)
Material Innovations of Dynamic Covalent Polymer Networks
15:00-15:15 Coffee Break

Chair: Prof. Takamasa Sakai
15:15-15:45 Prof. Kazunori Sugiyasu (National Institute of Materials Science)
Living Supramolecular Polymerization: Its Visualization and Manipulation by High-Speed Atomic Force Microscopy
15:45-16:15 Prof. Guoming Liu (Institute of Chemistry, CAS)
Confined Crystallization of Polymers in 1D Nanocylinders
16: 15-16:45 Prof. Takayuki Nonoyama (Hokkaido University)
Hydrogel Possessing Rubbery-to-Glassy Transition at Elevated Temperature
16:45-17:15 Prof. Hua Lv (Peking University)
4-Hydroxyproline-Derived Sustainable Poly(thio)este

2019年10月19日(土)
Chair: Prof. Yuya Oaki
8:30-9:00 Prof. Chao Wang (Tsinghua University)
Mechanically Adaptive, Electroactive Functional Polymers
9:00-9:30 Prof. Yuta Nishina (Okayama University)
Graphene Composites for Specific Applications
9:30-10:15 Coffee Break

Chair: Prof. Wei Tian
10:15-10:45 Prof. Chuan Zhang (Shanghai Jiaotong University)
Self-assembled Drug-Containing DNA Nanostructures for Cancer Therapy
10:45-11:15 Prof. Yuya Oaki (Keio University)
Intercalation Chemistry of Layered Polydiacetylene for Control of Stimuli-Responsive Color-Change Properties
11:15-11:45 Prof. Yulan Chen (Tianjin University)
Mechanochemiluminescent Polymers

ののやまレンジャー