みなさん、こんにちは!学生レンジャーの長崎です。
今回は大阪有機化学工業株式会社さんを紹介する第1回です。
高分子学会年次大会の期に大阪事業所を取材してきました。
大阪有機化学さんは高度な有機合成の技術を駆使して様々な「アクリル酸エステル」を合成・販売している会社です。
アクリル酸エステルってなかなか聞き慣れないですよね?
でもアクリル酸エステルは私達の身の回りにたくさん使われています。
アクリル酸エステルは下のような構造をしていて、これは高分子(ポリマー)の単位構造であるモノマーの一種です。
このモノマーの二重結合の部分(ビニル基と言います)が重合して連なり、様々な高分子になります。

図1 アクリル酸エステルの構造

モノマーの側鎖「R」となっている部分は様々な官能基に置き換えることができます。
そのため、基本骨格は同じであっても様々な性質のポリマーを作製することができ、それらが接着剤・塗料・化粧品・液晶ディスプレイといった多岐にわたる産業分野で使われています。
このアクリル酸エステルは製品になる原料だから私達が聞き慣れないですが、いかに世の中に欠かせない重要な製品かわかりますね。
身近な原料や製品の例として、超親水で曇らないフィルム(Graft to型ポリマーブラシ)、化粧品の原料があります。
Graft to型というのは、あらかじめポリマーを作製して、そのポリマーを基材に固定する技術です。
(対義語のGraft from型は基材表面からモノマーを反応させてポリマーを生やす技術)
ここで使われているアクリル酸エステルは、Rに親水的な官能基を持っていて、フィルム表面は水とよく馴染む性質になります。
そのため図のように細かい水滴は薄い水膜になることで、水滴の乱反射が無くなり、曇らない状態を作りだしています。

図2 疎水的な表面と親水的な表面での水滴の様子

化粧品の成分欄を見ると高分子がたくさんあるのがわかります。
たとえば、毛髪の形状を保つための整髪料に含まれる成分が、大阪有機化学さんの開発したものになります。
このように私達の身体に触れるものに使うことができるほど、純度が高く安全に配慮されていることがわかりますね。

図3 実際に使用されている製品の成分表

今回私たちは、実際に使用されているジェルやスプレーの合成実験を体験してきました。
スプレーに使われている溶液は高分子を溶かした液化ガスです。
溶液の粘度が高すぎるとノズル中で詰まりやすくなり、低すぎると広範囲に噴射してしまい思っていたところに飛ばないという難しさがあることがわかりました。
ジェル実験では、ポリアクリル酸を溶かしてゲル化させ、実際に手に取って確かめました。
ジェルの硬さや広がり具合でキープ力が変わるので、ニーズに合わせた原料作成を行っているそうです。

続く第2回は樫村レンジャーによるアクリル酸エステルの液晶ディスプレイへの利用を紹介します、どうぞお楽しみに!

左: スプレー実験に用いた耐圧容器など
中: 実験の時の様子
右: ジェルの作成の様子

長崎 学生レンジャー