質問・メッセージ |
山本先生からの回答 |
ミセル化したリニアのミセルと環状ミセルの特性は溶媒を変えることで変化したりはしますか (M1男) |
現在のところミセル化に使える溶媒は水だけです。しかし、水に添加剤を加えることで耐塩性の実験のように曇点の変化が現れると考えられます。 |
環状ポリマーミセルの組織化構造については直接観察されましたか (M1 男)。 |
AFMおよびTEMを用いて観察しました。 |
環状ポリマーの親水部や疎水部の構造を変えたりするとミセル化したときの変化はありますか。 (M1男) |
現在、8の字型や4本鎖スター型などの両親媒性ブロック共重合体を合成し、自己組織化を検討しています。 |
リニアポリマーと環状ポリマーを混合してミセルを作った場合、リニアポリマーと環状ポリマーが混ざったミセルが出来るのかそれぞれでミセルが出来ているのか,確かめているのか...(D2男) |
耐熱性および耐塩性が段階的に変化したことから混合のミセルが形成していると考えられます。 |
ミセルの中に取り込むことによる触媒反応に関して、基質分子がミセル内部に取り込まれるDFは何か。表面積的にはミセルでは不利な点があると思うが..(D2男) |
DFは疎水性相互作用です。ミセルの総表面積は、水・有機溶媒の2相系よりずっと大きいと考えられます。 |
環状ポリマーを高収率で合成するコツはありますか?あるいは環状と線状を分離する方法はありますか? |
合成のポイントは、高希釈下で長時間の反応を行うので、分解・副反応が起こらない条件を見つけることです。Liquid Chromatography
at the Critical Conditions (LCCC)と呼ばれる手法で環状と線状の分離が報告されていますが、分取スケールで行うことは非常に困難だと思われます。 |
今回親水性の物質を内包されていましたが、実際の薬剤には疎水性が高いものが多々あります。疎水性の蛍光基を内包した場合どのような放出挙動を示すのでしょうか (M1男)。 |
ミセルからのピレンを用いた放出実験を行いましたが、この場合でも環状高分子ミセルの方が直鎖状高分子ミセルより放出が遅いことが確認されました。 |
ミセル触媒なのですが、これは簡単に除去できるのでしょうか。(M1男) |
高分子のため低分子との分離は簡単です。 |
疎水性溶媒中ではどのような構造変化が起こるのでしょうか。(B4女) |
良い条件を見つければ逆ミセルになると考えられます。 |
高温・高塩濃度・強酸性などに耐性のある環状高分子ミセルが構築できた後、このミセルはどのようなものに応用できるのでしょうか (B4女) |
耐熱性のコントロールを活かしたDDSや耐塩性を活かした界面活性剤の開発に応用できると考えられます。 |
ミセルの耐塩性の話についてなのですが、L-ミセル、C-ミセルについてそのような研究をする理由とメリットについて教えて下さい。 |
高分子の化学構造や分子量を変えることなく、材料の特性を向上させるのは非常に有意義なことです。耐塩性は硬水でも使用できる界面活性剤としての応用を考えています。 |
本当にミセルになった際に環状を維持できるのか |
一般的に自己組織化によって結合が切れることはありません。また、ミセル化後再溶解しNMRを確認しています。 |
ブリッジによって凝集されるならば濃度に敏感に依存して良いのでは |
濃度を変えた実験も行いましたが特に顕著な差異は見られませんでした。理由は現在考察中です。 |
環状ポリマーミセルの熱的安定性を濁度測定によって評価されていましたが、蛍光プローブ法で評価されたことはありますか?同法は疎水場の有無を評価できるので先生の提案されているメカニズムに関する知見が得られるのではと思います。 |
蛍光プローブ法も試したことはあります。確かにこちらの手法で詳しく実験することにより新たな知見が得られるかもしれません。ご提案ありがとうございます。 |
ご講演ありがとうございました。直鎖状高分子と環状高分子から形成されたミセルで耐熱性が大きく異なっていたようですが、ブロック高分子自身のA/Bの割合を変えた時に転移点がどのように変わってくるのか教えてい頂けると幸いです。(D2男) |
ミセル化する親水疎水比は限られており、現在の段階は包括的な検討は行えていません。今後の課題にしたいと思います。 |
また、温度応答性を有する高分子からミセルを形成した場合にどのような耐熱性が得られるとお考えでしょうか? |
おもしろいアイデアだと思います。さらに複雑な系になるので予想は困難なのですが、有為なトポロジー効果が現れると思います。 |
環化反応は希薄溶液中で行われると思うが、Click体を選択的に得るに濃度のオーダーはどの程度まで下げなければならないのか。(M1男) |
0.25 g/Lで環化反応を行っています。 |
疎水基のモノマーを変えた場合、モノマーの種類によってどのように熱的性質など諸物性が変わると思われますか。(B4男) |
PMA-PEOで行った場合はPBA-PEOに比べて熱安定性の差異は小さくなりました。 |
C-gelのラメラ構造のSAXS測定において、IP像から一軸配向しているように見えましたが、なぜ軸配向しているのでしょうか。 (M1男) |
全体では一軸配向はしていません。測定箇所が小さかったためその部分が配向していたものと思われます。 |
L-gelを高温にするとhexagonalな構造になるとありましたが、これは、どのような原理で起こるのでしょうか。また、hexagonalな構造だと、どのような麺が特長であり短所であるのでしょうか。(B4男) |
相分離構造は通常親水疎水比および高分子濃度で決まります。今回、直鎖状高分子と環状高分子ではこれらが同じにも関わらず違った相分離構造を見せたところが興味深いと考えます。 |
高分子ミセルを研究している身としてとても興味深いお話しでした。線状と環状のミセルの会合数はSLS等から決めることはできると思うのですが、線状と環状で差は出てくるのでしょうか?また、SAXS等から疎水部のコア、親水部のシェルの構造も調べられると思います。球状と線状での凝集のしやすさの違いがこのあたりから何か分かるのではないでしょうか?(PD男) |
SLSによると会合数は環状の方が直鎖状より若干小さいようです。ミセル状態のX線回折も行いましたが濃度の問題から良いデータが得られませんでした |
L-polymerミセルとC-polymerミセルを比較して○会合数は同じと考えて良いですか?○会合状態では、ミセルとモノマーが動的平衡にありますが、交換の速度はどちらが速いでしょうか?一般には環状ですが。これらのことが、ミセルの安定性に関わってくるのではないかと思います。(助教・女性) |
会合数は環状高分子ミセルの方が直鎖状より少し小さいです。交換は環状の方が速いと予想されますが、交換速度の測定はできていません。仰る通り、これが安定性の要因になっているかもしれません。 |