ある日の夕食時、隼人はPETボトルのコーラをガラスコップに注ぎながら、
「今日、学校でこのPETボトルをフレーク状にしたものから繊維を作る実験をしたんだ」と切り出した。

「アルミ缶の下のほうに穴がいっぱい開いていて、その中にフレークを入れ、熱しながら回すと穴から繊維が飛び出したんだ」と得意げに話した。

「そうそう綿菓子みたいだった」「綿菓子食べた~い」と有紗。

母美也子は主婦の特権とばかり、「繊維といえば、洗濯するときに見る表示ラベルに、ポリエステル100%とか、レーヨン、ナイロンなどと書いてあり、毛布ではアクリル、それに布団綿にポリプロピレンというのがあったわ。でもプラスチックとどう違うんでしょうね」と疑問を口にした。

「ただいま。お腹が空いたよ」と父慎太郎が帰宅、食卓に。
「母さん、ビール!今日は、人間ドックで検査を受けたんだが、検査、検査でかえって身体の調子が変になりそうだよ」とビールを飲みながらつぶやく。

「人間ドックって?」と有紗。
慎太郎は、検査着に着かえ、検査の流れを説明する。
「お父さん、検査着を着るだけで身体の検査がすべて終わったらいいのにね」と隼人。
「それは面白い発想だね。宇宙服のような検査着を装着するだけで運動機能や身体のデータが採れるといいね。
そういえば、最近、『折り紙』のようなミニチュア医療ロボットが話題になっていたな。
医療分野でもプラスチックや合成繊維といった高分子は大活躍だな。
医療分野における高分子の未来を知りたいもんだね」

「この前、高分子未来塾にプラスチックについていろいろと質問してみたんだよ。
今回は、医療分野の高分子未来像を教えてくださいって聞いてみよう。楽しみだね。お父さん」

とがみ むねひさ