錦織選手の試合を観戦していて、1試合で何度もラケットを交換していることに気付いた人も多いと思います。

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試合途中で新しいボールに代わるときには、必ずラケットを交換します。
また、打った瞬間の感触が少しでもおかしいなという時にも、すぐに交換します。
1試合で6本くらいは持参しているようです。
これは、ラケットのガット(ストリング)とボールとの接触した感覚が、湿気や温度、使用している間に変化し、それぞれのラケットによっても微妙に違って感じられるのでしょう。
その研ぎ澄まされた感覚で、コートぎりぎりにボールを入れることができるのですね。

ラケットのガットは、張る強さやその素材によって結構違ってきます。
その強さである張力(テンション)は、45~65ポンドくらいの間で細かく調整します。
その素材によって、耐久性、反発力、ソフト感、スピンなどの性能が違ってきます。
私も張り替えるときには、どの素材でどの程度の強さで張るか、迷ってしまいます。

そのガットは何からできているか。。。
もちろん高分子です!昔は羊の腸を原料にしていました。
実はガット(Guts)は、「腸」という意味なのです。
最近は牛の腸を使っているようです。
これらをナチュラルガットといいます。
今でもプロ選手はナチュラルガットを使用しているそうです。
まさに天然に存在する高分子を巧みに加工して使ってきたのですね。
ここ何十年かはナチュラルガットよりも安価なポリエステルやナイロンが主に利用されています。
合成高分子であるポリエステルやナイロンはナチュラルガットよりも耐久性が高いのですが、それ以外の性能はナチュラルガットの方が良いそうです。
ポリエステルやナイロン(ポリアミド)の合成・加工技術がここまで進歩したにもかかわらず、まだ天然高分子に勝てないのですね。
錦織選手は、天然高分子と合成高分子とを縦と横で分けているハイブリッド型だそうです。
世界の多くのテニスプレーヤーが使用してくれる究極のガットを開発することができたら、技術者としてきっとやりがいを感じることができるでしょう。
最先端のスポーツ競技を支えているのも高分子の巧みな技術なのです。

まつおかレンジャー