身近な高分子材料の1つに接着剤があります。接着剤は、パソコンやスマートフォン、カメラ、プリンタなど、身の回りにある精密機器の中身にもたくさん使われています。精密機器の部品の接着について、紹介します。
部品を接着剤でくっつけるとき、剥がれないように強くくっつけることが重要です。が、それと同じくらい大切なのが、「部品がずれないようにすること」です。
ここでいう「ずれ」とは、接着剤自身が膨らんだり、縮んだりすることを指します。数ミクロン程度のほんのわずかなものですが、精密機器には大きな影響を及ぼします。
例えば、下の図のように、部品を接着剤でくっつけるとき、接着剤が少し左にはみ出していたとします。すると、接着剤が膨らんだとき、部品は接着剤に押されて右にずれます。逆に接着剤が縮むと引っ張られて左にずれます。

%e5%9b%b31

接着剤は、温度が変わると縮んだり、膨らんだりします。温度が下がると縮み、上がると膨らみます。また、湿気が多くなると、水分を吸って膨らみます。
接着し終わったあとだけでなく、接着する途中でも注意が必要です。接着の基本的な方法は、①接着剤を部品に塗る②部品の位置を調整する③接着剤を固める です。接着剤は固まるときに縮む性質があり、これを硬化収縮と呼びます。硬化収縮により、③で接着剤を固めるときに、②で調整した位置からずれてしまいます。そこで、②ではあらかじめ調べておいた縮み量の分だけずらした位置に合わせる必要があります。

%e5%9b%b32

このように、多くのことに気をつけながら、どの接着剤を使うか、どこを接着するか、どうやって接着剤を塗るか、どうやって固めるか・・・などをエンジニアが1つ1つ決めていきます。
完成した製品を外から見ても、なかなか分かりませんが、精密機器は接着技術に支えられてできています。まさに縁の下の力持ちです!

高橋明理(株式会社フジクラ)企業レンジャー