[せんたんけんきゅう]にレポートがありますが、3月に開催されたGelsympo2017では、世界各国の優れたゲル研究者が集われた中、日本発のゲル研究がたくさん報告されていました。
このサイトの中でも、ゲルの研究について触れられたものがあります。
このように、‘ゲル’という材料は、未来を切り開く期待値があります。
そんな最新最先端の科学への活用も期待されますが、既に50年以上にわたり、長くゲル材料を活用してきた製品があります。
教室の後ろの席から黒板が見にくい人や、遠くは見えるのに細かな文字の読みにくい人、保健室や眼科で、近視や遠視と言われませんでしたか?
メガネと並んで、このような視力矯正を行う道具、『コンタクトレンズ』をご存知ですか?
お父さんやお母さん、もしかしたら皆さんの中にも、使って下さっている方がいらっしゃるのではないでしょうか?
この中でも、最も使用されているやわらかい『ソフトコンタクトレンズ』というレンズは、毎日使い捨てるレンズ(ディスポーザブルレンズ)や、瞳を大きく見せるおしゃれ用のレンズ(カラーコンタクトレンズ)など、たくさんの種類があります。
このソフトコンタクトレンズは、ゲル素材から出来ています。
2回に分けて、このゲルからできた『ソフトコンタクトレンズ』の不思議に触れてみたいと思います。
やわらかいソフトコンタクトレンズですが、洗面台などにそのまま置いておくと、乾いて硬くなります。
この性質の逆を利用したのがソフトコンタクトレンズです。
ブランクスと呼ばれるレンズ原料の塊を製造し、このブランクスを専用の機械で削ってレンズの形を作ります。


この時、ブランクスが硬いため、精密な加工が可能になります。
そして、出来上がったレンズを水につけることで、レンズは水を吸ってふくらみ、同時に柔らかくなります。
この水を吸って柔らかくなる性質により、ソフトコンタクトレンズははめ心地が良くなります。このはめ心地の良さが、ソフトコンタクトレンズの人気の秘密です。
では、ここでソフトコンタクトレンズを通してゲルの不思議をご覧ください。
ただ、この水を吸うことによって、もう一つ素晴らしいことがありました!
人間の体には酸素が必要なため、血液がその酸素を体中に運んでいます。
でも、人間の黒目(角膜)は、人体組織の中でも数少ない血管を持たない組織です。
そして、その黒目にも酸素が必要です。そのため、血管のない黒目の場合、酸素不足になると血管が黒目に向かって侵入しみえづらくなってしまうなど、様々な障害が発生します。
実は、ゲル素材がソフトコンタクトレンズに使用されるようになったのは、1960年代、50年以上も前のことなのです。
当時レンズに使用されていた高分子は、全く酸素を通さない素材(ポリメチルメタクリレート)だったため、このゲルが水を吸い、水と共に酸素がレンズを通り抜けて、黒目に供給されるということが、画期的でした。
こうして、ソフトコンタクトレンズとして愛用されるゲル素材の歴史は、幕を開けました。
この後、数十年に渡り、レンズ素材の研究者は、少しでも角膜に酸素を届けようと、ゲル素材が吸うことが出来る水の量(含水率)を向上させるための努力を続けました。

 

伊藤恵利(株式会社メニコン)企業レンジャー