こんにちは。学生レンジャーの三浦です。
第二回は、高分子の見せ場であるドラッグデリバリーシステム (DDS) についてお話します。

前回は、薬が体内で細胞やタンパク質に作用して働く、ということをご説明しました。
しかしその薬が元気な細胞に作用してしまうと、副作用として体に悪影響を及ぼします。
副作用を避ける為に、高分子を用いたドラッグデリバリーシステムが開発されています。

ドラッグデリバリーシステムとは、薬が作用する量・時間・空間を制御するシステムのことです。
なんだか格好いい雰囲気が漂っていますね。
それぞれどのような工夫がなされているのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
今回は、についてご説明します。

病気の細胞へ薬が1個届けられる場合と10個届けられる場合、どちらが効果的だと思いますか?
もちろん、10個届けた方が良い効き目が得られます。
しかしながら、単純に薬を飲んだからといって全てが病気の細胞へ届けられるとは限りません。
元気な細胞へ届いたり、どこへも届けられずに壊されたり排出されたりと、機能を示してくれるのは投与した内のほんの一部です。
つまり、病気の細胞へ薬を10個届けるためには、その10倍、100倍もの薬を投与しなければならないのです。
しかし、大量の薬を投与するということは、元気な細胞へ届く薬の量も増えてしまい、副作用を引き起こしてしまいます。

薬は病気の細胞と元気な細胞へ届いてしまいます

この課題を解決する為には、病気の細胞を狙って薬を届けることがポイントです。
薬自体に何らかの工夫ができたらいいのですが、薬は構造が命。
何かを修飾してしまうと、効果がなくなってしまうことがあります。
そこで、高分子の出番です!
高分子で薬を包み、そしてその高分子に様々な工夫を行うことで、病気の細胞を狙います。
例えば、病気の細胞と特異的に結合するタンパク質を修飾する工夫が挙げられます。
(利用する生体反応例:抗原抗体反応、リガンド / レセプターの結合反応などなど…)
そうすると、投与する殆どの薬を病気の細胞へ届けることができるので十分な効果が得られ、さらに、投与する全体量も少なくすることができます。


高分子で工夫して、薬を病気の細胞にのみ届ければ解決ですね!

副作用は少なく、投与量も少なく、でも病気の細胞へは多くの薬を届けて!というわがままなお願いですが、高分子で工夫すれば叶えることができます。

今回お話した量の制御方法は、ほんの1例に過ぎません。
世界中では、違う手法を用いた方法もたくさん研究されています。
気になった方は、是非調べてみてくださいね!
次回は、時間の制御についてお話したいと思います。
お楽しみに!

みうらレンジャー
京都大学 秋吉一成研究室 D1 : http://www.akiyoshi-lab.jp/