くすりと高分子、第3弾です。
今回もドラッグデリバリーシステム (DDS) についてお話します。

ドラッグデリバリーシステムとは、薬が作用する量・時間・空間を制御するシステムのことでしたね。
前回はその中でも、を制御する方法についてお話しました。
そこで今回は、時間についてご説明します。

薬がどのくらい効くのか、というのは前回のお話にもあったように、その量に影響されます。
多すぎると副作用が起きます。だからといって、少ない量では効果が現れません。
そして体の中の薬の量は時間と共に変化し、投与した後は一時的に向上しますが、その後徐々に排出されて0の状態に戻ります。
つまり、長い間薬の効果を得る為には、体の中の薬の量をコントロールする為に、何度も何度も薬を摂取する必要があります。
しかし、薬の種類によっては何度も摂取することが大変な場合があります。
例えば注射薬であれば、自分で打つことはできないので何度も病院に通わなければなりません。
そんな状況では、患者さんの医療費や交通費が増えるだけでなく、体力的にも負担になってしまいます。

1回の投与では、一時的な薬の効果しか得られません。(青い線)薬を長い間効かせるためには、丁度良い薬の量にコントロールする為に何度も投薬を行います。(緑の線)

そこで、高分子の出番です!
1回の摂取で長く効く薬があれば、とっても嬉しいですね。
たくさんの薬を高分子で包んであげて、その中から少しずつ漏れ出すような設計にすると、 体の中の薬の量を一定に保ち、非常に長い時間効果を示すことが出来ます。
このような機能のことを徐々に薬を放出する、という意味で徐放性と言います。
徐放性を薬に付与する高分子材料の例として、リポソームやゲルが挙げられます。

高分子から少しずつ薬を出すことで、長い時間薬の効果を示します。(オレンジの線)

その他にも薬が出てくる時間を制御する方法として、錠剤にするという方法があります。
みなさんも、飲んだことがあるのではないでしょうか?
錠剤とは薬をコーティングしたもので、薬を飲みやすくする為の工夫がなされています。
例えばゆっくり溶解して徐放性を示すものや、酸性の胃液から薬を守り腸では溶けて薬を放出するものなど、様々な方法で時間を制御することが出来ます。
時間の他にも、砂糖で薬をコーティングして薬の苦味を消してくれるものもあります。
これは「糖衣」と呼ばれる形で、ドラッグストアで販売されている錠剤でもよく見かけます。
このような錠剤のコーティングの成分に、高分子はたくさん使用されています。

前回と同様、今回お話した時間の制御方法は、ほんの1例に過ぎません。
世界中では、違う手法を用いた方法もたくさん研究されています。
気になった方は、是非調べてみてくださいね!
次回は、空間の制御についてお話したいと思います。
お楽しみに!

みうらレンジャー
京都大学 秋吉一成研究室 D1 : http://www.akiyoshi-lab.jp/