コスメの中の高分子
以前松本レンジャーが書かれましたように、やわらかいポリマーが化粧品で活躍しています。
この記事は化粧品のどの成分にポリマーが使用されているか、探っていきます。
皮膚などに直接塗る化粧品。
皮膚は、水と脂肪が混ざった成分である皮脂が出てきます(+皮脂の薄い膜が角質の上(皮膚の最表面)にあります)。
化粧品が皮膚になじみ、機能を発揮するためには、“水に溶け、油にも溶ける”性質が必要です。
さらには“長時間塗っていても、肌にダメージをあたえない、皮脂や汗で崩れない”などの性質も合わせて必要となります。
化粧品の中に含まれる成分は表のようなものになります。
一般的なポリマーはプラスチックとして使われていることからもわかるように、水に溶けないものが多く、化粧品の中でも形を維持するための「皮膜形成剤」として利用、というのが一番わかりやすいと思います。
これは松本レンジャーの記事にもあったヘアスタイリング剤にも含まれています。
これだけではなく、マスカラ、ネイルなどに、アクリル酸アルキルコポリマー、(スチレン/アクリレーツ)コポリマーなどとして含まれています。
透明で形が維持できるポリマーです。
水に溶け、油にも溶ける化粧品の成分ですので、長時間皮膚に塗っていると、汗や皮脂の分泌により、化粧がはげたり、ムラができたり、テカったりと...化粧崩くずれが起きます。
ウォータープルーフのファンデーション、日焼け止め、落ちない口紅など化粧くずれを抑える製品がありますが、これにも「皮膜形成剤」が活躍しています。
マスカラなどのように形を維持することが目的でないため、先に書いたアクリル系ポリマーよりも柔らかく、水にも油にも溶けないシリコーン系のポリマーが「皮膜形成剤」です。
(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマーなどが相当します。
ちなみに化粧品にはよく含まれるジメチコン(ジメチルポリシロキサン)はシリコーン油(ポリマー)の一つで、油性成分(水分が蒸発しないよう、角質の脂質となじみやすい疎水性の高い成分)、塗る際の感触を調整する(滑りやすくする)成分としても利用されます。
ポリマーの中にも水に溶ける性質のものがあります。水溶性ポリマーの代表格ポリエチレングリコールは、角質の水分量を保つための保湿成分(水に溶ける性質、水を吸収する性質が必要)として利用されています。
化粧品の成分表示にはPEG-20など、PEG-〇〇という形で含まれます。
水にも油にも溶けにくいシリコーン油を、水に溶けやすいPEGなどの他の成分とうまく混ぜて(乳化させて)化粧品として使うためには、水にも油にもなじむ性質を含む界面活性剤(乳化剤)が必要となります。
長時間置いていても水溶性成分と油性成分に分かれないように、含まれるものと同じ成分であるPEGとジメチコンが結合したPEG-10ジメチコンなどを用いています。
ここに記載したものは代表的なものです。
ノンシリコーン系のシャンプーの販売で、「シリコーン=体に悪い」というイメージがついていますが、シリコーンがすべてにたいして悪いわけではありません。
また1つの成分が2つ以上の役割を果たすこともあります。
化粧品の成分に関してもっと詳しく知りたい方は、皮膚を知って、界面化学を知ると理解できます。
下記などは成分がどこに使われているかわかりやすくまとめているものです。
化粧品成分ガイド(フレグランスジャーナル社)
日本化粧品技術者会: http://www.sccj-ifscc.com/index.php
Cosmetic-info.jp: https://www.cosmetic-info.jp/
うえむら支部レンジャー