<対象学年:高校生以上>

こんにちは、増田レンジャーです。「イオン液体」の続編です!

前回は、「塩」とは正の電荷を持った「陽イオン」と負の電荷を持った「陰イオン」からなる物質であり、その中でも液体として存在する「イオン液体」と呼ばれる物質があることを紹介しました。

今回の記事では、どのような物質が液体の塩になるのか紹介します。
具体的には陽イオンと陰イオンの種類がかわると物質の融点がどうなるか、に注目して見ていきたいと思います。

前回の復習ですが、融点とは物質が固体から液体に変化する温度のことで、水では 0 °Cから固体(氷)から液体に変化します。
塩化ナトリウム(NaCl)では800 °Cほどまで加熱すれば「融解して」液体になります。

では、他の「塩」ではどうでしょうか?
塩化セシウム(CsCl)はセシウムイオンと塩化物イオンからなる塩で、セシウムイオンはナトリウムイオンよりも大きなイオン半径を持っています。
この塩化セシウムの融点は645 °C程度で、塩化ナトリウムよりも100 °C以上も融点が低くなることが知られています。

さらに、陽イオンを有機化合物からなるものに変えるとどうなるでしょうか。
(1), (2)に示す陽イオン(1-ethyl-3-methylimidazolium cation, 1-エチル-3-メチルイミダゾリウムカチオン)にしてみましょう。(カチオン(cation)とは陽イオンのことです。)

1-ethyl-3-methylimidazolium cationは芳香族環をもっており平面的な構造の陽イオンです。(1)の塩化物イオンとの組み合わせでは、融点がNaClやCsClと比較すると劇的にさがり、87 °C程度となります。

(2)に示す組み合わせではさらに融点が下がって-16 °C程度となります(水よりも融点が低い!!)。常温(25 °C程度)でも液体として存在します。

ポイントは、1)イオンの大きさが変わると結晶構造だけではなく融点などの性質も変わってくる、2)有機化合物でも陽イオンであるものがあり、かつイオン液体になるものがある、といったところでしょうか。

学校の化学で習う「物質の三態」や「イオン結晶」の先にも、多彩で面白い材料の世界が広がっています。

ますだレンジャー