【3月6日開催】第10回高分子学会関東支部北関東地区講演会【開催報告】

 

群馬大学では、超高性能・高機能を有する高分子膜の創製や応用を目指した「スーパーメンブレン・プロジェクトを大学本部からの支援を受けて実施しています。今回は、この群馬大学・重点支援プロジェクトおよび複合材料懇話会との共催にて、二件の講演および学生を中心とした最近の研究成果に関するポスター発表を美喜仁桐生文化会館(桐生市市民文化会館)にて開催いたしました。

前半では、東京大学の榎本有希子先生から、バイオマスからのエンジニアリングプラスチックの創製に関する最新の研究成果をご紹介いただきました。榎本先生は、木材の細胞壁の構成成分の一つであるリグニンを酸化分解して得られるバニリンを原料として、高性能なエンジニアリングプラスチックを創製するユニークな研究を展開されています。地球環境課題に資するだけでなく、産業利用も期待される点にも関心が集まり、活発な質疑が行われました。

また、後半では、三井化学の岡本勝彦様から、特異な性能を示す新規なオレフィン共重合体エラストマーの開発に関するご講演をいただきました。岡本様は、この技術開発により、2023年度日本化学会化学技術賞を受賞されています。ご講演では、チーグラー教授およびナッタ教授というノーベル賞受賞者から始まるポリオレフィン重合の歴史についても、特許出願の観点から解説していただきました。高分子合成の歴史を知るという点で、学生諸君には大変勉強になったと思います。

 

大学のみならず、企業からもご参加いただき、参加者は80名でした。

 

また、上記の招待講演の間に、28件のポスター発表が行われ、発表者と参加者の間で熱心なディスカッションが行われました。参加された教職員・企業・官公庁の方々による審査の結果、下記の最優秀ポスター賞1件および優秀ポスター賞3件が選出されました。

 

P-6「超高分子量ポリエチレン重合膜からの多段一軸延伸による高強度フィルム化」

群馬大学 髙草木美奈 氏

 

P-14「ポリウレタンへのビフラン骨格の導入とその特性評価」

群馬大学 荒川総羽 氏

 

P-24「ヒアルロン酸-アルギン酸混合溶液のゲル成長に対する凝集体形成の効果」

群馬大学  脇山七々香 氏

 

 

 

関東支部常任幹事 上原 宏樹(群馬大)