第12回高分子学会関東支部北関東地区講演会 開催報告

群馬大学では、超高性能・高機能を有する高分子膜の創製や応用を目指した「スーパーメンブレン・プロジェクトを大学本部からの支援を受けて実施しています。今回は、この群馬大学・重点支援プロジェクトおよび複合材料懇話会との共催にて、3件の講演および学生を中心とした最近の研究成果に関するポスター発表を群馬大学桐生キャンパスSUBARU Innovation Commonsにて開催いたしました。

1件目のご講演は、群馬大学の橘熊野先生から、「食糧廃棄物からのフルフラール生産と機能材料への展開」と題して、未可食資源であるヘミセルロースを原料としてフルフラールを合成し、これを原料としてビフラン骨格を導入した高性能ポリマーを創製される最新のご研究をご紹介いただきました。高い接着性能やフォトクロミズム特性を見出されており、今後の応用展開が大いに期待されます。

2件目は、東京都立大学の田中学先生から、「アニオン伝導性高分子電解質膜の開発とエネルギー変換デバイス応用」と題して、田中先生がこれまで取り組んで来られたアニオン交換膜の開発に関するご研究をご紹介いただくとともに、AIなども駆使した「有機ナノニクス」の概念をご説明いただきました。また、参加者との対話を取り入れたご講演でもあり、聴講していた学生諸君が引き込まれている様子がよくわかりました。

3件目は、兵庫県立大の遊佐真一先生から、「生体膜に学ぶ高分子ソフトインターフェースの医療への展開」と題して、様々な医療用高分子材料をレビューしていただくとともに、遊佐先生が創製された多彩なミセル、ベシクルの合成および性質をご紹介いただきました。これらの材料は、医療用途に資するだけでなく、形状的な美しさも兼ね備えており、精密重合や溶液物性といった高分子科学としての魅力も感じました。

上記の招待講演の間に、26件のポスター発表が行われ、発表者と参加者の間で熱心なディスカッションが行われました。参加された教職員・企業・官公庁の方々による審査の結果、下記の優秀ポスター賞3件が選出されました。

P-19「E/Z-立体特異的ビフルアン-ポリカルボシラン σ-π 共役ポリマー:持続可能な合成、強化された光電子特性、および閉ループ化学的リサイクル性」

群馬大学 シェカール グプタ 氏

P-21「ビフラン骨格含有ポリエーテルケトンにおけるハロクロミズム挙動」

群馬大学 荒川総羽 氏

P-25「延伸によるポリウレタンフィルムの相分離構造変化」

群馬大学 田口歩実 氏

関東支部常任幹事 上原 宏樹(群馬大)