平成30年度より、支部活動のより一層の活性化を促進するために、群馬・栃木地区と埼玉地区が合併し、「北関東地区」として活動を開始しました。第4回目の今回は、群馬大学理工学部を主管として、オンライン開催しました。群馬大学理工学部では、2021年度から5学科体制から2類8プログラム体制に生まれ変わり、新たに「材料科学プログラム」が開設されました。また、高分子をはじめとする様々な材料を用いて超高性能膜を創製する「スーパー・メンブレン」プロジェクトが群馬大学本部が指定する推進研究(G2)として展開されています。そこで、今回は、「高分子材料の反応と劣化」を主題として、下記の招待講演2件をお願いしました。
前半では、量子科学技術研究開発機構(高崎市)の前川博士から、放射線グラフト重合を用いた電池膜創製に関する研究をご紹介いただきました。前川先生は、群馬大学の客員教授も勤められています。これまでのご研究をまとめた形で、放射線グラフト重合に関して、学術的観点から膜応用、さらに、マテリアルズ・インフォマティクスを駆使した膜材料開発まで、幅広い内容についてご紹介いただきました。
また、後半では、化学物質評価研究機構(埼玉県杉戸町)の近藤博士から、合成ゴムの劣化メカニズムに関するご講演をいただきました。ゴム・マトリクスおよび充填剤の比率のみならず、界面での相互作用をはじめとした合成ゴムならではの構造特異性と物性との相関に様々な分析手法を駆使してアプローチされており、専門機関ならでは分析技術の高さに聴講者の多くが感銘を受けました。
両ご講演とも、大学のみならず、企業の方も数多く拝聴されており、お二方のご研究の産業的有用性をあらためて感じました。
また、上記の招待講演の間に、38件のポスター発表が行われ、発表者と参加者の間で熱心なディスカッションが行われました。参加された教職員・企業・官公庁の方々による審査の結果、下記の優秀賞ポスター5件が選出されました。
【優秀ポスター賞】
群馬大院理工 河端夏輝
「針状常磁性体を用いたex-situ固体NMRによる薄膜材料のイメージング法の開発」
群馬大院理工 松原希宝
「GFN2-xTBを利用した活性化エステルの計算化学的解析と高分子修飾反応への応用」
群馬大院理工 原田瑞己
「セルロース繊維を素材とするバイオディ-ゼル製造用グラフト触媒の開発」
宇都宮大 木村栄美
「シイタケ菌糸体による各種バイオマス素材分解能の解析」
群馬大院理工 髙澤彩香
「バイモーダルな分子量分布を有する超高分子量ポリエチレンの分子鎖絡み合い特性が溶融延伸性に与える効果」
北関東地区代表幹事 上原 宏樹(群馬大学)